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I MUSICI: THE COLUMBIA RECORDS (RECORDED 1953-1954)
(Apple Musicで聴く)


Apple Musicに最近追加されたスゴイ音源を見つけたので、どうしても紹介したい。
なんとイ・ムジチ合奏団の1953-1954年の録音!
レコードの存在は知っていましたが、本当に音源が残っていたなんて!

ベルゴレージ、コレッリ、マルティーニ、ヴィヴァルディなどCDにして3枚分に及ぶ大量の音源。
NAXOSオンラインでのCD情報はコチラ。
こちらにはCD購入のほか、英語の紹介文があります。

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イ・ムジチのリリースしたレコード盤を総覧した「I MUSICIディスコグラフィー」というページがあるんですけど、このCDには最も古い1954年のSPレコードにも含まれていない演奏が沢山あります。
SP盤なんか1枚に3〜4曲くらいしか入りませんが、このCDは3枚組で20曲近く入ってますから・・・
すごい音源が出てきてしまった。


イ・ムジチが最初の「四季」を録音したのは1955年。
このCDはそれ以前の、間違いなく最古のマスターテープだと思われます。
今回NAXOSで初デジタル化および修復されたらしい。

イ・ムジチのCDを40枚以上持っているファンの自分。
1955年盤の「四季」だって1990年代に10年もレコード店を探し歩いて手に入れました。
1959年盤は名盤として大量に出回っていますが、モノラルの1955年盤はレアなのです。
これより昔はもう遡れないと思ってました。感動です。


その演奏は、結成直後にしてすでに圧倒的に完成度が高く、溌剌として力強く若々しい。
イ・ムジチは元々はローマにあるサンタ・チェチーリア音楽院のOB合奏団です。
アーヨは当時18才。日本で言えば高3ですよ。
最初はアーヨがコンマスではなく、プリンチペという音楽院の先生だったとか。

すでに現代にも通用するシャープできらびやかな演奏スタイルが垣間見えます。
イ長調RV158など、今まで聴いた音源で一番いい。
譜面ミスがあるのが惜しいけど、そんなところが若々しい!

正直、当時のイ・ムジチ黎明期には研究不足?な演奏もあったりします。
でもこれは違う。
どれほど猛練習したか、混乱の時代にどれほど研究したか、努力の跡が垣間見えます。
イ・ムジチはバロックを最後の一音まで全パート全員がスキなく弾き上げる、その完成度が魅力です。
そのスタイルがデビューその日からすでに確立されていることが分かります。

このサウンドが、まだ第二次大戦からわずかしか経っていない頃のもの・・・
そう考えると驚かされます。イタリアだって敗戦国ですからね・・・

初コンサートに偶然、巨匠トスカニーニが居合わせて、めったに他人を褒めない気難しいトスカニーニがその演奏を絶賛して世界中に紹介したことで、イ・ムジチは有名になりました。イ・ムジチ伝説です。
そのトスカニーニが目にしたであろう、まさにその演奏。
トスカニーニが、この若者たちの美しい演奏にどれほど感銘したか。想像に難くありません。


こんな素晴らしい歴史的音源が、今まで埋もれていたなんて。

ソロを誰が弾いているのか、今やそれすらも不明らしい。
誰の許諾が必要かも今では分からない。そういうレベルの古い録音です。
商業的には成り立たないのかもしれませんが・・・
バロック音楽を世界に広めた合奏団、イ・ムジチファン必携の音源と言えるでしょう。
CDショップじゃ絶対出会うことのできない音源だと思います。

こうして古きよきバロック解釈の温かいサウンドは、心に安らぎを与えてくれます。


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このほかにもCD未発売音源を見つけました。今度紹介します。
CDになっていない音源まであるって、Apple Musicスゲエよ。
いい時代だなぁ。